今日はシュロの日です。イエス様が十字架にかかって私たちの罪を赦して下さる、大切なときの始まりの日です。人々はシュロの枝を手に持って、ホサナと叫んでイエス様を歓迎し迎えたのです。ところが１週間もたたないうちに十字架につけろと叫び、イエス様は一言も反論しないで私たちの罪を背負い十字架で死んで下さいました。
この新しい一週間は受難週と呼ばれています。イエス様の苦しみを覚え、私たちを救うためにいのちを捨てられたイエス様の愛を深く覚えたいと思います。
１，神に対するののしり
イエス様が十字架にかけられるとき、二人の犯罪人も一緒に十字架にかけられました。そのうちの一人は「おまえはキリストではないか。自分を救い俺たちも救ってみろ」とののしりました。おそらくは私たちの心にも同じような思いがあったのではないかと思います。
苦しみに会うとき、なかなか感謝の言葉は出て来ません。おそらくは愚痴や嘆き、悲しみや苦しみの言葉が出て来るのではないでしょうか。そんな時は、人の慰めや憐れみをも受け付けない状態になると思います。心に余裕がないのです。ですから、囚人の男から出てくるののしりの言葉は当然であったと思います。苦しんで死ぬ、それが最後であったのです。私たちがそのようにならないために、どうしたらよいのでしょうか。
２，苦しみを乗り越える信仰
マタイとマルコの福音書を見ると、最初は二人がののしっていたと記されています。ところが、このルカの福音書には一人はののしり、もう一人は彼をたしなめる姿が記されています。おそらく医者ルカは十字架での出来事を。より詳細に捕らえていたのでしょう。この犯罪人は同じ十字架の苦しみを受けている中で心が変わったのです。驚くべきことです。ある人は「長いすの上で、安らかな状態の中で回心することはない」と言うのを聞いたことがあります。苦しみの中で、そしていよいよ最後と言うときに、私たちには救いのチャンスがあるのです。
先の囚人は「救ってみろ」と傲慢でした。またそこには信じたいという思いは感じられません。しかし、もう一人は「神を恐れる」ということを言っています。彼はどんな犯罪で死刑になったかは分かりません。とんでもない凶悪犯だったでしょう。そんな人間が、「神を恐れる」と言っているのです。その心が彼の心に芽生えた。それは信仰の第一歩です。そして「おれたちは、自分のしたことの報いを受けている」とはっきり罪を認めています。しかも「この方は、悪いことを何もしていない」と告白しているのです。さらには「あなたが御国(天国)に入られるときには、私を思い出して下さい」と神の国天国を認め、さらにはこの方こそ、権威を持ったお方であるとの思いが表されているのです。驚くべきことです。この様な信仰が十字架の上でも与えられるのです。救いは行いではありません。信じることです。ただ信じるだけで良いのです。
３，救いの宣言
それに対してイエス様は、なんと彼に「今日、あなたはわたしと共にパラダイスにいる」と言われたのです。キリストは天においても地においても一切の権威を委ねられています。そのキリストが「あなたはわたしと共にパラダイスにいる」と宣言されたのです。だれも否定することはできません。
おそらくこの囚人は、その言葉に励ましが与えられたでしょう。もう十字架で死にゆくばかりですが、天国へ行く希望がもてたのです。それは何という喜び、平安であろうかと思います。それは私たちにも同じです。神様をののしり否定して、喜びが得られるでしょうか。信じないで希望がもてるでしょうか。
そうではなく、この囚人のように、自分の罪を認め、自分には天国に行ける価値はないとへりくだり、私を思い出して下さい、とイエス様にすがる者とさせていただきましょう。
（宣教者：柏原教会牧師 西本耕一）
