柏原教会 今週の礼拝メッセージ(要旨)

日本イエス・キリスト教団 柏原教会の礼拝メッセージ要旨

「キリストの思いの共有」第1コリント2章1節-16節 イザヤ64章4節

 パウロは先に、神のご計画は、「目が見たことのないもの、耳が聞いたことのないもの、人の心に思い浮かんだことのないもの 9節」だと記しました。
 では、見たことも聞いたこともなく、考えもしなかったことがどうしてわかったのかと言えば、それは神が「御霊によって私たちに啓示された 10節」からだといいます。
 パウロはここまでに、父なる神の知恵による御子の十字架こそが、キリスト教の中心であると語ってきました。そしてここに至って、そのことを御霊によって分からせて下さると語ります。即ち、三位一体の神のお働きを語っているのです。
 何でも知りたいと思う人間の心は、神の領域にまで踏み込もうとし、定められた境界を越えて、禁じられた木の実を食べて以来、すでに何でも知っているかのように思い、神をも畏れない存在となったのです。その結果、神のご計画は隠され、人はそれを知ることが出来なくなりました。しかし「神はこれを、御霊によって私たちに啓示されたのです 10節」「私たち」とはすなわち教会です。


 父なる神はわたしたちの救いをご計画下さり、御子がそのことを成就して下さり、そして聖霊がわたしたちにそれを分からせ、信じさせて下さると言うのです。なぜなら聖霊は「神の深み」すなわち神の御思いを知っておられるからです。このように三位の神が、わたしたちの救いのために働いてくださるのです。
 人は、神のことを知りたいと思い続け、努力してきたのです。その結果、さまざまな神についての思想が生まれ、偶像が生まれてきましたが、それはあくまでも人間が考え出したもの、人間の作り出したものに過ぎず、神のことは神の御霊による以外に、知る道はありません。
 このことは、パウロにとってとても大きな経験でした。パウロは、神を知ることに努力してきた人、そのことに生涯をかけてきた人であり、神を知っていると思っていた人の一人でした。しかし、十字架のご計画など知る由も無かったのです。すなわち神の御思いを知ってはいなかったのです。
 ですから十字架の救いの計画を知ったとき、「目が見たことのないもの、耳が聞いたことのないもの、人の心に思い浮かんだことのないもの」というイザヤの言葉を思い出したのです。そして、御霊がこの神の秘密(十字架の救いの計画)を悟らせて下さったと叫ぶのです。

 
 さて、先に、人が考えもしなかった神の救いのご計画は、「御霊によって私たちに啓示された 10節」と語った聖書は、ここで「生まれながらの人間は、神の御霊に属することを受け入れません 14節」と語ります。
 神とか、救い・信仰などと言うことは難しい、と人は考えます。神はあまりにも崇高で、わたしたちには近づき難い、神については神秘的過ぎて理解できない、と思っているのではないでしょうか。しかし、そうではなくて、それは、神のご計画を愚かなことと考えるからなのです。
 十字架の救いが用意されているにもかかわらず、人は、それを愚かなことと思い、受け入れようとしないのです。
 十字架の救いは単純明快です。十字架は、人間を罪人であると言い、十字架は、人間には自分を救う力がないと言います。こうして人間の自尊心を傷つけます。ですから、十字架は、神の御霊に従って、謙遜にさせられない限り、人は喜んで受け入れることはできないのです。
 人は救われなければならないと知りつつも、自分の力で何とかしようと考え、御霊によって明らかにされるまでは、十字架の救いを愚かなことと考えるのです。これが生まれながらの人の姿です。
 すなわち、生まれながらの人は、十字架を愚かとし、神の救いのご計画を愚かと考えているが、教会は、そしてあなたがたは、御霊によってこの救いの計画、神のわたしたちに対する深い御思いを知らされている、と言うことを気づかせようとしているのです。
 そもそも人間は不遜な者で、神に指図し、神に忠告し、神を自分の思いのままに動かそうとする者なのです。しかし、それはいかに愚かなことかと言うことを、わたしたちは御霊によって知らされています。
 すなわち、神は、わたしたちの思いをはるかに超えたご計画を持って救いの道を備えて下さったのです。そのことを知らされたわたしたちは、今は、キリストの思いとひとつになることができました。それが教会であり、キリスト信者なのです。
 教会は、十字架の思いをキリストとともに共有する者とされていることを認めるところ、信じるところです。わたしたちは、この世が何と言おうとも、人はみな罪びとであり、人間には罪から救う力がないことを語り、そして十字架以外に救いがないことを信じ、それを証し続けることです。ここにのみ救いがあると語り続けることです。

      (説教者:柏原教会 協力牧師 岸本 望)