先週私たちの教会では礼拝の後に教会総会が持たれました。それは新しい年度の活動を話し合うためです。しかし、一番大切なことは人間の思いや計画以上に、神様の御心は何か、神様は何をなそうとしておられるかを知ることです。
１，教会の目的
この聖書の所では、イエス様がペテロと会話をされ、「わたしの羊を飼いなさい」とペテロに語られています。それは今日、教会に集う人たちが豊かに養われ、導かれることを意味しています。神様は私たちに何を願っておられるでしょうか。
聖書に「神は、すべての人が救われて、真理を知るようになるのを望んでおられます。」（?テモ2:4）とあります。ここに教会の目的が二つあると思います。それは第一に、すべての人が救われることです。それが教会の目的です。いくらすばらしい集会であっても、もし人が救われなければ神様の目的を達成していません。ですから、私たちはまず、どんな人でも神様の救いに与り、永遠のいのちの喜びを持っていただきたいと願うものです。そして、第二のことは真理を教えると言うことです。それは正しい聖書理解です。それがなくなると異端となり、まったく別のものとなります。エホバの証人や統一協会、モルモン教は現代のキリスト教三大異端と言われています。似て非なるものです。ですから教会には、聖書の真理を教える大切な使命があるのです。
それをイエス様はご自分の弟子たちに託されました。
２，教会の原動力
この15節からペテロとイエス様の会話が出てきます。イエス様は弟子のペテロに、三度問いかけられました。「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛するか」と。ここで注目したいことはまず、三度尋ねられたことです。なぜ三度なのか。それはペテロがイエス様を三度裏切った、あのゲツセマネの園で逮捕され大祭司の庭に連れて行かれたとき、ペテロも後を着いていきました。しかし、彼はそこで尋ねられたとき三度「知らない」と答え裏切ったのです。そして復活されたイエス様はこのところで三度彼に「わたしを愛するか」と尋ねられました。おそらくはペテロはそのことを思い出して17節には心を痛めて、「主よ。あなたはいっさいのことをご存じです」と告白しています。あの最後の晩餐の席で、「他の弟子たちが見捨てても私は最後までついていきます」と言ったのと対照的です。彼はいくらか謙遜になったようです。
そしてここでイエス様は「愛する」という言葉を使いました。日本語で「愛」は一種類しかないのですが、ギリシャ語では三つの言葉があります。一つはエロースです。それは男女の愛、異性間の愛を表します。そして二つ目はフィリアです。それは友愛とも訳せます。好きだ、ということです。そして三つ目はアガペー、ひと言でいうと「神の愛」です。熱烈に愛する。価値なきものを主体性をもって愛する愛です。それは、十字架にかけられても敵を愛し、自分が身代わりとなって赦す愛です。
キリストは弟子たちを、また私たちをアガペーの愛で愛して下さる方です。しかし、残念ながら私たちの力では、アガペーの愛をもって愛することはできません。
あのペテロが言ったように、「主よ。あなたはご存じです」と私たちも他に答えるすべはありません。
幸いにも主はあわれみ深いお方であり、私たちの弱さを知っておられます。まず、ペテロに対して「ヨハネの子シモンよ。」といわれました。かつてイエス様は私はあなたをペテロと呼ぶといわれました。しかし、ここではシモンと三回も言っておられるのです。それは彼の弱さを知っておられたからです。シモンとは小さな岩のことです。それであえて、ペテロをシモンと呼ばれました。そしてもう一つあります。それは「わたしを愛するか」の三回目の言葉はフィリアでした。アガペーではありませんでした。「神の愛で愛せよ」といわれたのではなく「わたしが好きか」といわれたのです。そしてペテロは「好きです」と答えたのです。
３，キリストの願い
そのペテロに対してイエス様は一つの願いがありました。それは「わたしの羊を飼いなさい」ということです。それは実際の羊のことではありません。教会に集う一人ひとりのことです。神様は、私たちが豊かに養われることを願っておられます。「飼いなさい。」には特別な意味があります。それは世話をするということです。羊は手が掛かります。羊は自分の力では生きていけません。また迷う羊もあります。しかし、感謝なことに私たちにはよき牧者イエス・キリストがおられます。キリストは私たちのためにいのちを捨てて救って下さる方です。そしてまた、私たちには助け主「聖霊」がおられるのです。今は聖霊の働かれるときです。私たちは主の御言葉を聞き、従って行くならたとえそれが苦難の道であっても主の栄光を見ることができます。
あの裏切ったペテロも、聖霊により上から力を得たときに、彼は大胆になったのです。キリストを堂々と証しするものと変えられました。どうして勇気ある人になったのか、それはイエス様が「わたしに従ってきなさい」との言葉に彼は従って行き御聖霊により変えられたからです。私たちもまたキリストに従い、私たちの実生活の中に主の栄光を拝するものでありたいものです。
（宣教者 柏原教会牧師 西本耕一）
