この出来事の前には、イエス様は小さなパン５つと二匹の魚を持って５千人以上の人たちの空腹を満たした奇跡が行われました。人々は、そのキリストを王としようとしたのです。(ﾖﾊﾈ6：15)それで主は一人祈るために山に退かれ、しいて弟子たちを舟に乗り込ませて湖の向こう岸に行かせたのです。それには理由があります。
１．高慢になることを防ぐため
５千人以上の男子とありますが、おそらくは女、子ども合わせると１万人ほどでしょう。それを５つのパンと二匹の魚で満たしたのです。まさに奇跡です。
私たちは自分がやったことがうまくいき人にほめられたら、高慢になりやすいものです。そして、心が高ぶり、失敗することがあります。そうならないために、イエス様は模範を示されました。まず神の前に出ることです。神との交わり、すなわち祈りをすることを示されました。私たちも有頂天になる前に、まず神の前に静まり感謝するものでありたいものです。
２．信仰が明らかになる
弟子たちは訳も分からずに舟に乗り込まされました。私たちの人生の中にも強制されて試練に立ち向かわされることがあります。どうしてこんな大変なことをしなければならないのかと思います。そこにも神の私たちに対する目的があるのです。
弟子たちは一日中イエス様と共にいて、パンを配る奉仕をして疲れていたでしょう。なにしろ５千人以上もしくは１万人の人がいたのです。それを12人で配ったのです。
私たちも、毎日の生活の中に疲れることがあまります。ストレスもたまります。湖上を歩くイエス様を見て、幽霊だと思った。彼らは疲れていたのです。
大切なのは、まず慌てないことです。落ち着くことです。そのためにも、神の前で心静めることは大切でなのです。「立ち返って静かにすれば、あなたがたは救われ、落ち着いて、信頼すれば、あなたがたは力を得る。」(イザヤ30;15)と学んだごとくでです。
その彼れらに「我なり、恐れるな」と主は声を掛けられました。その声を聞き、ペテロは力が与えられ、水の上を歩いて個々まで来いと命じて下さい。と彼は言いました。ペテロは信仰を持って応答したのです。信仰の大胆さが伺えます。主が命じて下さるなら、たとえ水の上でも歩けると彼は信じました。たとえ人間的に不可能でも神は可能にして下さると信じるそれはすばらしいことです。
そしてもう一つ彼の言葉に、キリストに対する愛を見ます。主に近づきたい、暗闇のなかに主を見いだし、少しでも主の御許に近づきたいと思う弟子の主に対する愛です。私たちもその信仰・こころを見習いたいものです。
そして主は「来なさい」と命じられました。ペテロは舟から出て一歩二歩踏みだし、イエス様に近づきまた。ところが彼はしずんでしまったのです。波風を見て怖くなり、沈んだのです。私たちはここで教訓を得ます。それは、キリストから目を離して、この世を見ると、この世におぼれてしまう、ということです。それは自分の力では、この世を渡っていけないということです。だからこそ、私たちはイエス様から目を離してはいけません。いつもイエス様を見続けることです。信仰の秘訣はヘブル12:2に「信仰の創始者であり、完成者であるイエスから目を離さないでいなさい。」とあるとおりです。
３．キリストをあがめる
彼は沈みかけて「主よお助け下さい」と叫びました。
イエス様はすかさず彼の所に来られ「信仰の薄い人だな」と言いつつも、手を伸ばされ、彼をつかまれたのです。
私たちだったらどうでしょう。「なぜ最後まで信じないのか。なぜ疑ったのか。もうちょっと頭を冷やして、そこにしずんでいなさい」と説教していたかもしれません。
人を救うのに必要なのは説教ではありません。キリストがされたように、手を伸ばして、彼を捕まえ引き上げることです。それが救いです。
キリストは天の高いところから見下ろされ、私たちを指図して、こうすれば救われるのだと言っておられるのではないのです。まさに私たちのただ中に来られ、私たちと同じように、この世の試練に遭われ、苦しめられ、しかも十字架にかかって、私たちの罪を許し、失敗を受けとめ、救って下さる方なのです。
私たちがペテロなのです。失敗しても良いのです。中途半端です、でも大丈夫です。「しっかりしなさい。わたしだ、恐れるな」と言って下さる主が、共におられる限り大丈夫です。
「主よ、お助け下さい」私たちもそう祈るのです。そう叫ぶのです。
そうすれば、あなたを愛する主は、すぐに救いの手を伸ばし、沈むあなたを捕まえ引き上げて下さるのです。
あとは全てを主にゆだねることです。主は引き上げ、もう一度舟に乗り込んで下さいます。「神の子です」とみなのものがイエスを拜したとあります。もはやペテロの失敗をとがめるものはありません。キリストが共におられるなら、あなたの失敗もその栄光に覆われ、何の心配もおそれもなくなるのです。
神の栄光はあなたの失敗も罪も、おおい隠します。
ともに主の栄光をあがめましょう。
（説教者：柏原教会牧師 西本耕一）
