「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれも父のみもとに行くことはできません。」このことばは、イエス･キリストが十字架にかけられる前、最後の晩餐のとき弟子たちに語られたことばです。
おそらくそのときは、誰もイエス様の気持ちはわからなかったと思います。ご自身の死のこと、また互いに愛し合うこと等大切なことを弟子たちに語られた後に、父のみもとに行かれることを話されました。何が大切であるかというと、私たちはどこに行こうとしているのかです。この世でどんな素晴らしいことをしたとして も、この世では永遠に生きられないのです。
１，父のみもと―天国
それではどうなるのか、どこへ行くのかと言うことが大きな問題です。私たちは旅行することがあります。必ず目的地があります。目的の場所がない旅行はありません。
人生はよく旅にたとえられます。それでは人生のゴールはどこでしょうか。聖書は、明確に答えています。ここではイエス様は「父のみもと」と言われました。簡単に言うなら天国です。天国とはだいたい上にあるものです。下にあるのは地獄です。誰でも死ぬのですが、その先は解らない。
聖書を読めば、天国がある、それはまた父のみもとであるとイエス様は言われました。父とは、万物を造られた天地創造の神様です。「分け登る麓の道は多けれど 同じ高嶺の月を見るかな」 一休禅師 と歌った人もありますが、それは父のもと―天国へ行く道とは異なるも のです。日本一高い富士山には登山口がいくつもあります。御殿場口、須走口、吉田口などあります。確かに頂上に着きますが、でも月には到達できません。頂上についてもまた、下っていくだけです。それ以上に上れないのです。
しかしイエス･キリストはご自身が「わたしが道である」とはっきり言われたからです。イエス･キリストを信じる以外に天国に行ける方法は他にはありません。
２，なぜキリストか？
なぜキリストしか、父のもと―天国に行くことができないのか。それはキリストがなぜ生まれたのか、目的を知ることによって、救われる意味がわかります。
キリストの生まれた目的は、私たちを救うことでした。決して、敬われたり賞賛されたり尊敬されるために来たのではないのです。ただキリストを信じる、その信仰によって救われる、父のみもと―天国に行くために来られた方です。
なぜならその生涯の最後は、十字架でした。なぜ十字架にかけられたのか。それは私たちの罪を身に負い身代わりで死んで、私たちの罪を赦すためであった、というこ とです。私たちの罪を示して、教える人はたくさんいると思います。失敗を批判する人もたくさんいるでしょう。しかし、その失敗をかばったり、引き受けてくれる人はどれだけいるでしょうか。
イエス･キリストは、私たちが自分で払うことのできない、失敗・過ちの罪の代価を、十字架で支払って下さったのです。言わば罪の身代わりとなって、命をもって、私たちの罪を償って下さったのです。これ以外に、罪が赦される方法は他にはありません。
３，救いの架け橋
道とは、ある地点ともう一つの地点を結ぶものです。キリストは何を結ばれるのでし ょうか。それは、罪を犯した私たちと、愛と正義に満ちた神様です。しかし、私たちは罪の故に、神様のもとに行くことはできませんでした。
ところが何と、その一人子である御子キリストが架け橋となって、私たち罪人と万物の創造主―父なる神様をつないで下さったのです。私たちの救いの道となって、私たちを父のみもとにいけるものとして下さったのです。
あるビルが火災となり、父と二人の息子が逃げ遅れました。その時、隣のビルの窓が開いていました。 1m50cm ほどあります。何と父は身を投げ出し、隣のビルの窓枠に捉まり、体で橋を造りま した。「お父さんの上を渡って逃げなさい」息子達はおそるおそる、お父さんの上を渡りました。
二人が渡り終えると、お父さんはついに力尽きて、体はビルの谷底に落ちていったのです。お父さんは自ら救いの道となって、二人の息子のいのちを助けたのです。
イエス･キリストの十字架こそ、キリストが我が身をもって、架けて下さった天国への道なのです。
（宣教者：柏原教会牧師 西本耕一）
