今の時代は神殿がありません。今はもう神殿を建てる必要がなくなったからです。その代わりに教会堂があります。そして新しい神殿もあるのです。その意味を聖書からみたいと思います。
一般的に神殿とは、そこで神様を拝む所と理解しています。教会もある意味そうかもしれません。実は私たち自身が神の神殿であるのです。
１．神との出会い
人生は出会いで決まる―哲学者のマルチン・ブーバーは言いました。私たちも神にお会いする必要があります。ここに、ヤコブという人が神に出会いました。
彼は決して正しい人ではありませんでした。むしろ、自己中心的で、ずるがしこい人でした。兄をだまし、父を欺いて家督相続の権利を手に入れようとしましたが、その企てがばれて家を出て行くことになりました。
彼は一度も旅をしたことはありませんでした。家でお母さんの台所仕事を手伝うような人でした。その彼が、遠い異国の地に一人で逃げていかなければなりませんでした。荒野を旅し、一人寂しく石を枕にして眠る、そんな中で神とお会いしたのです。
神との出会いは、自分がまじめで正しく、立派な時にお会いしようと思う方もありますが、そんな必要はないのです。むしろ、自分が大変で、苦しい中に、神様はお会いして下さいます。
私たちに、慰めと希望を与えて下さる方です。ですから、私たちも、立派になってからと考えるのではなく、今、ありのままでお会いすることができるのです。神様に会えれば人生は変わります。ヤコブも変わりました。
２．神との約束
一つの約束は、彼が見た不思議な夢にありました。
天から地上に伸びたはしごで、天使がそのはしごを上り下りしていたのです(12節)。それはいったいなんでしょうか。実は救い主が天から来られ、私たちを救って下さる。そういう意味の夢であったのです。そのことについては、イエス様もはっきりとヨハネ１：５１を通して「天が開けて、神の御使いたちが人の子の上を上り下りするのを、あなた方はいまに見ます」と言われたとおりです。イエス・キリストこそが、天と地をつなぐ架け橋、天国への道です。「わたしは道であり、真理であり、命である。だれでもわたしによらなくては、父のみもとに行くことはできない」と聖書にあるように、イエス・キリストが救いの道です。その夢をヤコブは見たのです。
人間が作ったバベルの塔は、地上からのばされましたが、神の救いのはしごは天から地に向かってのばされているのです。わたしたちが努力して、天国に行くのではなく、神様の方から私たちに救いの手を伸べて下さっているのです。
ヤコブは17節を見ると「こここそは神の家にほかならない。ここは天の門だ」と言いました。まさに、教会が神の家、天国に一番近いところ、天の門、天の入り口であるといえます。
もう一つの約束は、祝福の約束でした。13節に「この地を、あなたとあなたの子孫とに与える。」と言われたのです。神様の祝福、幸福になることは、天国に行くことだけではありません。この地上においても、私たちを豊かに養って下さるのです。
彼は、20節で誓いを立てています。「神が守り、パンと着るものを賜り、主が神となられるなら、すべて賜る物の十分の一をささげます。」後の彼の姿を聖書で見るなら、そのように、いやそれ以上に豊かに与えられています。無一文で行った彼が、奥さんや子ども、たくさんの家畜を連れて帰ってきました。神様は祝福の神です。豊かに与えて下さる方です。
彼は十分の一をささげると約束しましたが、クリスチャンは月定献金をします。それは十分の一が基本です。私たちは神から豊かに祝福を受け、そして感謝をもって主にお献げします。それを神様は喜ばれ、ますます祝福して下さるのです。
３．私たち自身が神殿である
神殿は神を礼拝する所と言いましたが、聖書は私たちに、私たち自身が神の神殿であると言っています。?コリント３：１６，１７では、私たち自身が神の神殿であり、私たちのうちに神の御霊、イエス・キリストご自身が宿られるとあります。
イエス様が、心に入られたらあのザアカイのように(ルカ19章)、喜びと感謝に溢れて、人々に分かち合うことのできる人に変えられます。
ヤコブもそうでした。たったひとりぼっちで旅をしていた彼は、枕にしていた石をとり、それをたてて油を注ぎ、そこをベテル、神の家と呼んだのです。かつては、ルズ（アーモンドの木）と呼ばれていた普通のところが、神の家に変わったのです。私たちも変えられます。
孤独な人生を旅しているようなものですが、神は私たちに会って下さいます。それどころか、ヤコブに約束されたように私たちにも約束して下さいます(15節)。私たちもその約束に預かりましょう。
（説教者：柏原教会牧師 西本耕一）
